溺れて、染まった1日に
感情の名前
朝のHRが終わった教室で。
私、西塚紗彩は困っています。
「椿君、ほら、椿君」
「…………ぶー」
「豚さんになっちゃうよ、お願い、起きて?」
「まだ気付かないわけ?……はー」
朝、学校に来て話をしたらすぐにふて寝してしまったこの人。
理由は未だにわかりません……。
「…………ねー、怒ってる?」
私、なにかしたっけ?
……なんだか優真も黒いオーラが出てきている気がするしなぁ。
「もーやだぁ…」
なんで今日みんな不機嫌なの?
私もふて寝しちゃおうかな…。
「………紗彩」
「………いませんー」
「……いんじゃん。紗彩」
「…ばか」
「さーあーやー」
私の髪を耳にかけ、顔を見えるようにすると、椿君は意地悪そうに口角を上げた。
「なんれすか…?」
「ふにっふに、ですな。奥さん」
「ひゃあっ!!触んないで!!」
ひたすらほっぺをふにふにする椿君。
その顔はやっぱり意地悪そうで。
バッと立ち上がって戦闘態勢をする私。