溺れて、染まった1日に



「なーに妬いてんの?美月。美月は俺のこと好きになるんだろ〜?」

「触るなフェロモン」

「くくっ、つれないねぇお嬢さん」


奏が美月ちゃんの艶やかな黒髪を掬って、ながめる。


「枝毛すらねぇなぁ」

「当たり前よ。あんたと違ってリアルが充実してるからね」


そう言って奏の手から自分の髪をとり、手櫛で髪を整えた美月ちゃん。

……美男美女って、映画のワンシーンみたい。


「なに見惚れてんだ。あーしてほしいなら俺が帰ったらたくさん愛でてやるからな。とりあえず口閉じろ」

「はっ、うん!」


ポ〜っとして開いていた口を閉じる。
どうしよう、マヌケな顔だったかもしれない……。手のひらで顔を隠そう。


< 16 / 19 >

この作品をシェア

pagetop