溺れて、染まった1日に
「なーに妬いてんの?美月。美月は俺のこと好きになるんだろ〜?」
「触るなフェロモン」
「くくっ、つれないねぇお嬢さん」
奏が美月ちゃんの艶やかな黒髪を掬って、ながめる。
「枝毛すらねぇなぁ」
「当たり前よ。あんたと違ってリアルが充実してるからね」
そう言って奏の手から自分の髪をとり、手櫛で髪を整えた美月ちゃん。
……美男美女って、映画のワンシーンみたい。
「なに見惚れてんだ。あーしてほしいなら俺が帰ったらたくさん愛でてやるからな。とりあえず口閉じろ」
「はっ、うん!」
ポ〜っとして開いていた口を閉じる。
どうしよう、マヌケな顔だったかもしれない……。手のひらで顔を隠そう。