溺れて、染まった1日に
「入学したばっかりだから、ずっと学活ばっかりだねー」
「まあ、その方がいいよ。……あ、ほら、あんたの隣の奏って人、また叱られてる」
「椿奏って人だよね」
「そう。かっこいいよね」
「んー……そうなのかぁ」
先生のガミガミ言ってる方に視線を向けると、奏って人は私の方をチラッと見て何か口パクした。
「お前!怒られてるんだからふざけるな!!」
「………うーい」
馬鹿だ。
絶対馬鹿だあの人。
「このクラスになってから、あんたのことずーっと馬鹿にしてるよね」
「そうだね……私の強さを見せつけなきゃだめなのかな」
「ブッ!!……、っっ、馬鹿ー!飲み物飲んでる時に笑わせないで!!」
「えへへ、ごめんごめん」
「ほんっとだよ。馬鹿なのはお前だ紗彩。」
「っ、……ったぁー!!」
丸めたノートで頭を叩かれて、痛くて涙目になった。
誰かなんて声を聞けばわかる。
「……優真、死んで」
「はっ、絶対やだ」
ふふん、と明るく染めた髪を無造作にかきあげる優真。
ドヤ顔もいいところだよ。失礼だな。