溺れて、染まった1日に
このドヤ顔野郎は鈴木優真。
私の幼なじみで、家はお隣さん。
仲良くしたくはないけれど、親同士が仲が良すぎるために、必然的に仲良くしなければならない。
「お前、今失礼なこと考えてたろ」
「ううん、なんで優真が私の席に近いのかなやだなーって思ってただけ」
「充分失礼じゃねぇか!」
「お前らー!!昼休み終わるから席に着け席に!!!」
「じゃあまたね、美月ちゃん」
「うん」
どうやら椿奏君への説教は終わったみたい。
やっぱりこの先生、怖いなあ……。
「紗彩、相変わらずちっさいな」
「椿君、失礼だよ」
「本当のことだしっ、あー、ほら、怒んなよ」
ぶーっと膨れた私の頭をガシガシと撫でる椿君。
馴れ馴れしいな、やっぱり。
「椿君人見知りとかしないでしょ」
「えー、めっちゃするよ。今だってもう膝が産まれたての子鹿だし」
そう言って、わざとらしく膝をガクガク震えさせる椿君。
かまってられないな、これは。
「あーもうなんか紗彩うけるわ」
「はい?! 情緒不安定なの?!」
「紗彩、うるさい。今授業中」
「なっ………!!!」
ウザキャラに見えるけど、実際この人といると面白くて。
周りから好かれているのも、きっとこの容姿や、性格からなんだろうなって最近感じるようになってきた。
洗脳されてるのかな、私………。