夫婦ですが何か?Ⅱ
ゆっくり顔の距離を取ると穏やかに私を見つめるグリーンアイを見つめる。
見つめて、自分の心が定まるとそっと顔の距離を埋めて彼の唇に唇で触れる。
触れて、啄んで。
確かめるように一瞬は離れて、そしてまた触れた。
そんな柔らかな接触に合わせてゆっくり態勢を変えた彼の腕が首の後ろに巻き付いて引き寄せる。
しっとりと重なりが深まって、お互い柔らかく感触を確かめるようなキスを繰り返す。
ほんの一呼吸。
その隙に言葉を挟んだのは私で、
「・・・・・・甘えに・・・来たんです」
「・・・・」
ふと冷静が戻ったその場所に孤独を感じて。
気まずい感情から意地を張って孤独を保っていたけれど、不意に浮上したあの長い長い孤独の記憶。
心は縛られたままなのに離れざるを得なかったあの過去の時間。
あれに比べたら・・・・一緒にいる事を許されての今の孤独に意地を張って馬鹿馬鹿しいと。
傍にいたいと・・・。
「・・・・・・・寂しくなりました、」
「・・・うん、」
「・・・・癇癪持ちの・・・暴力的な女でも、
・・・・・・・夫婦でいてくれますか?」
馬鹿みたいに声が震えた。
彼が返してくれる答えなんて・・・聞かなくても分かっていたのに。
でも・・・色々と迷走している今は確実なる響きが欲しかったんだ。
それを・・・全て察してあなたはいつだって完璧な言葉で私を安定させてくれる人だから。
「・・・・千麻ちゃんしか・・・俺の奥さんになれないよ。
・・・一緒に・・・夜風感じながらお酒飲む老夫婦目指すんでしょ?」
クスリと笑って私の頬をくすぐる彼に酷く安堵して唇を重ねる。
やはり・・・それなりに学習して成長しているんです。
不満に思っても、揉めても、喧嘩しても、疑っても、
一番にくる注意事項は・・・絶対に見落としてはいけない項目は・・・。
「・・・・・・・欲情・・・したんですが・・」
「・・・・俺は・・・昨日からずっと、」
離れては・・・・いけないという事。
「離れないで・・・・・千麻ちゃんがいないと・・・寂しくて痛い・・・・」
切なげに言葉を零した彼が私をソファーに引き上げると柔らかく口づけて覆いかぶさるように抱きしめてきた。
その背中に腕を回せば・・・・・必然。