夫婦ですが何か?Ⅱ
思わず噴き出し時間帯も忘れて笑い声をあげてしまえば、電話の向こうで舌打ちした彼の様子を感じ取って。
きっと、不貞腐れた赤い顔をしているのですよね。
それすらも手に取るようだと浮かんだ涙を指先で拭うとようやくまともな言葉で対応。
「すみません。なんか・・・可愛くて・・・」
『はいはい、俺はこうやっていつでも千麻ちゃんの思うままに遊ばれる役でしょうよ・・・』
「嫌ですか?」
『・・・別に、・・・こうやって他愛のない事で千麻ちゃんとああだこうだ言い合うの結構好きだし。・・・・・惚れた弱みかなぁ・・・・』
「その割に投げやりな返答ですね、」
『だって・・・現在絶賛欲求不満だし』
ああ、本気で盛り上がっちゃってますか・・・感情も体も・・・。
「・・・・若いですね」
『ねぇ、その反応どうなの?』
「いえ、私のたった一言でこんな深夜によくそこまで欲情できる物だと・・・」
『それだけ千麻ちゃんにぞっこんなんです』
「他所の女性宅で裸になってたくせに?」
『それはーー』
「はい、明日聞きます」
そう、その事も明日。
こうして口にしても責めていたわけじゃない。
それを彼も理解してくれていると分かっているから焦るでもなく、彼も本気で焦る様子もなくそれでも否定を返そうと言葉を返したに過ぎない。
そしてここに来ての突っ込み。
『・・・ってか、本気では疑って無いでしょう?俺と彼女の事、』
「当たり前でしょう」
『愛だよね』
「愛と言うより長年の感ですよ」
『どっちにしろ愛情でしょ』
「まぁ、お好きな解釈で、」
『愛してるよハニー』
ああ、もう、本当に馬鹿で単純ねダーリン。
思わず口の端を上げてその馬鹿さ加減に呆れつつも歓喜する。
単純なのはお互い様。
それとも・・・夫婦は似るっていいいますし、あなたの悪いところが似てきたのかしら?
ねぇ?
困るわダーリン・・・。
「・・・・・ダーリン、」
『ん~?』
「キスしていいでしょうか?」
自分の弾いた声の直後に何やらゴフッと噴き出すような音とむせ返り咳き込む彼の様子がリアルで。
まさかここまで動揺するとは思わず、正直こっちも軽く驚きながら彼が落ち着くのを待ってしまう。