夫婦ですが何か?Ⅱ




全員がほぼ同時。


そう、踏み出し動きだしたのは同時だったのに。


驚く速さで駆け抜け踊り場から飛び降り犯人を蹴り倒した姿に一瞬呆然。


そして私とは違い見事な着地を決め、倒れ込もうとしている男に容赦のないもう一蹴りすると。



「・・・・・・莉羽に手出すんじゃねぇよ、・・カス」



ベストな場面での決め台詞をかましたのは我が夫様。


・・・では、なく。


それでも予想もしていなかった男の酷くキレた冷徹なる姿。


そう、彼と因縁ある・・・・榊だ。


再び意識失い倒れた男をそっと覗き込んだ彼女が何事もなかったかのように榊を見つめると。



「・・・・・相変わらずえげつないのね孝太郎・・・・」


「こいつが悪い・・・」


「・・・・・・・でも、・・久々に気持ち動いちゃったかも、」



えっと・・・、なんか色々と突っ込みどころ満載なんだけど。


まったく理解の追い付かない目の前の光景。


呆然と見つめていた流れを語れば。


彼女にまで危害を加えようとした男に榊が容赦ない鉄槌を加え、それを確認した彼女が榊を親しげに『孝太郎』と名前呼びし、どこか空気ある会話をしたかと思えば彼女が意味深なセリフを吐いて榊の腕に静かに腕を絡めたのだ。


何がどういう関係?


そんな視線を横に立つ彼に向ければ複雑そうな苦笑い。


その答えを得ようとすぐに渦中の2人に視線を戻せば。



「なんか・・・そろそろ気分かも、」


「おっ・・・マジで?いや、そろそろ言いだしそうだとは思っていたけど、」


「うん、今なんかその気分後押しされた。どうする?【再婚】しとく?」


「おー・・・、でも、また色々手続き面倒だな、」


「【再再婚】なんだし・・・慣れた物でしょ?」


「んん~、まぁ、いいや。じゃあ、今夜そっち泊まっていい?」


「部屋片付けておく」



思考回路がショートしそうだ。


内容が濃すぎて色々と爆弾発言で。


どれに重点を置いていいのかも分からないけれど、何がそうさせるのか原因を探ればこの2人だ。


こんなどこか浮れたような会話をしているくせに口調も表情も二人とも無表情で淡々としているから混乱する。


でも、あえて・・・あえて突っ込むとすれば・・・。



【再婚】?



いや、自分達も再婚夫婦なのだから驚く事もないのだけども、自分達のそれを上回る【再再婚】であったから驚愕の対象なのだ。




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