夫婦ですが何か?Ⅱ
「あなたが疑い始めたきっかけはそれで分かりました。過剰な懸念も今となっては理解できるんですが・・・」
「うん?・・・何か引っかかってる?」
「はい・・・・、少し。あなたは過剰に榊にも警戒置く様に私に牽制かけましたよね?」
「ああ・・・、いや、ほらそれは・・・」
「あ、口ごもって焦らなくても大まか予測はついているので原因について追及したいんじゃないんです」
「・・・はい、・・・どうぞ、」
あからさまに挙動不審な反応で気まずさを見せた彼に、すかさずその問題は予想済みであると宣言し話の流れを崩さないように軌道する。
榊が恨んでた云々はどうせ彼女と彼の関係だろう。
「つまりは・・・榊が私に事を仕掛けはじめたタイミングが今回の事態と上手く被りすぎているんじゃないかって事です」
「ああ・・・」
「だって、昨日今日私がここに住み始めたわけでもなく、それこそ行動し始めるには遅すぎるタイミングでしょう?なのに何で今この時に合わせて動いたのかーーー」
「それも、・・・あの写真が原因」
「・・・はい?」
いまいちそのつながりが分からないと本気で眉根を寄せて怪訝な表情を向けてしまうと。
彼は彼で複雑な困ったような笑みで腕を組んで私を見つめた。
「感のいい千麻ちゃんは・・・先程俺と【彼】の因縁に大まか悟りをつけているって言ったよね?」
「はい、・・・でもそれが何か?」
「つまりね・・・それも根本に登って。莉羽ちゃんがウチのポストから写真引き抜いてるのをあいつが見かけたらしいんだ。でも、遠巻きだったから内容物まで分からなくて、過去の俺との事もあるし、また・・・何か交流しているんだと思ったらしいんだよね」
「・・・・・つまり・・・あなたと彼女の今の関係を疑って、それによって嫉妬し、過去の嫉妬にも火がついて今更な報復を行動してしまったと?」
「まぁ・・・そんなところでしょうか」
自分が過去に撒いた種の駆り忘れ。
そのせいかずっと表情が苦笑い継続の気まずさ全面。
結果ストーカー事件をより迷走させる事態になったのも自分の過去の清算を後回しにしたせいだと、本気で心苦しくて仕方ないのだろう。
ああ、でも・・・少しずつすっきりとしていく。
ずっと疑問ばかりだった物が解消されていって。