夫婦ですが何か?Ⅱ
説明されれば何てことない繋がりばかりで、逆に隠されていたからこそ自分も困惑し余計な警戒心張り詰め彼とも度々衝突することになったのだと思う。
本当に・・・呆れる。
今までの苦労は何だったのか?と、片手で頭を抱えると深く息を吐いて俯いた。
当然私の反応に異常な程ビクついている彼が自分も身をかがめ、忘れていた傷痕が痛んだのかすぐに体を俊敏に戻した。
そして、何とか出来る限りのご機嫌取りな笑みを浮かべると恐る恐る声を響かせてくる。
「えっと・・・・千麻ちゃん?」
「・・・・・っとに、」
「えっ?」
「本当に・・・あなたって人は・・・・」
「お、おお・・・その出だしで始まり続くのはお怒りの言葉だよね?」
「馬鹿じゃないんですか!!」
「やっぱり・・・」
「さっさと私に全部打ち明けていれば拗れぬものもあったでしょうに!?」
予感的中とばかりに怯んだ目をすかさず逃げるように横に逸らす彼を、両手でしっかりと頬を包んで軽く乱暴に自分に向けさせる。
そこまでされたらさすがに負け戦で降参示すように視線を絡めた彼が、困ったように眉尻下げて許しを請うように見つめてくる。
「・・・・ごめん。全部俺の判断ミスや力不足、」
「・・・行動する前に、自分の実力を理解し把握し力量伴う範囲で事を成す。・・・・・それが仕事であろうと私情であろうと最低限のルールでしょう?」
「返す言葉もない。・・・・・でも、ヒーローになりたかったんだよ」
「・・・・」
不意に彼の口から零れた単語にきょとんとして見つめ抜けば、すぐに困った表情継続でそれでも小さく笑った彼がその意味を語りだす。
「カッコイイヒーローに・・・。狙われたヒロインがその悪意に気付くこともないうちに悪を叩き打つようなヒーローに、」
「ヒーロー・・・」
「だって・・・いちいちさ、大切な人や、・・・ん~・・世界の平和を守るのに自分の力量計ってその正義を成す成さないを決めるヒーローなんていないでしょう?」
そっと彼の指先が頬に触れる。
追ってもう片方の指先も頬を滑って。
今私が彼にしている様に両頬をそっとその手で包み込んでくる仕草に、ただ呆然と彼のグリーンアイだけを見つめた。