夫婦ですが何か?Ⅱ
「・・・・・・ヒーローになるって難しいね、」
「・・・・・」
「孤独に人知れず戦うヒーロー。・・・カッコイイのにな」
羨望し・・・叶わなかった。
なり損ね、守れなかった。
そんな落胆を感じる彼の声と笑っているのにその感情皆無のアンバランスさ。
無事事は解決したのに彼の望んだ展開でなかったそれは手放しに喜べる幕引きじゃなかったらしい。
もう不安になる要素はないのに。
暗い顔する必要はないというのに。
私もあなたも、多少の痛みは伴ってももうここにいるんですよ?
それで・・・いいじゃないですか?
「・・・・無理に決まってるじゃないですか」
ぽつりと、本当に無意識に言葉を零すように落として。
その声に自分でも我に返った程無意識。
至近距離での言葉だ。
当然彼も拾い上げていて、流れからすれば自分の言葉に私が肯定し非難を浴びせたと感じているのだろう。
でも甘んじて受ける。という風に心無い眉尻下げた笑みで見つめてくるのに小さく胸が痛んで苦しい。
馬鹿・・・。
本当に馬鹿ねダーリン。
「何を馬鹿な事を・・・」
「うん・・・馬鹿・・だね」
「呆れました・・・孤独のヒーローになりたかった?1人で何でもかんでもスマートにこなして被害0で本気で終わらせたいなんて思ってたんですか?!」
「フッ・・・無理だったけど」
「当たり前じゃないですか!本っ当・・・ここまで事を起こして何を・・・」
「・・・・ごめん。・・・本当にごめーー」
「そもそも・・・・孤独じゃないのですから!!」
憤り交じりの言葉に、最初今まで同様に従順に聞き入れた彼が不意に眉根を寄せると疑問を映す。
自分がどう反応すべき言葉なのかその意図を見失ったように私を見つめ、それに気がつきながら更に言葉を重ね。
「【孤独】を目指していらした割にあなたはむしろ・・・頼りが多すぎたでしょう?」
「・・・えっと・・・あの、千麻ちゃん?いまいち・・・」
「どれだけの人巻き込んで協力得ているんですか?孤独のヒーロー?聞いて呆れます」
「・・・・」
意味が分からない。
とうとう彼がそんなポカンとした表情に変わったのを捉え、ここに来て力なく噴き出すと彼のグリーンアイをグッと近くで覗き込んだ。