夫婦ですが何か?Ⅱ
彼のいつもらしいおふざけが舞い戻った事に純粋に安堵し口の端を上げる。
「・・・・あなたは・・グリーンでいいんですよ」
「・・・・」
「完璧じゃなくていい。不完全に不器用に突っ走って・・・それでも私を感動させる・・・・それがあなたですから、」
「・・・・・千麻ちゃんが・・怪我しても?」
「・・・・・怪我をしないような人生を楽しいと思う私じゃありません」
「フッ・・・さすが・・千麻ちゃん。・・・・やっぱりレッドに相応しいよ」
敵わない。
そんな降参の笑みを浮かべ、髪の毛を絡めながら私の頬に触れる指先。
少し打ち身になっている頬がジワリと痛んで、今こうして安堵浸る時間に身を置いているけれど確かに恐怖もその身に刻まれていたのだと実感した。
確かに・・・怪我のない人生は面白みもなく望まない。
でも・・・、でもね・・・やっぱり・・・。
彼の指先が私の髪で遊ぶのを、髪の毛全てに神経走らせるように感じて目を細める。
でもその視線はしっかり彼のグリーンアイを捉えて。
特別意味もなく遊んでいる髪に視線を向けていた彼が、私のそれに気がついてなのかスッと視線絡め笑いながら疑問を向けて。
その表情に胸がざわつき、喉が焼けそうな思いで声を発した。
「・・・・・触って・・・」
「・・・・・触ってるよ」
返された返答に『本当だ』と思いつつすぐに否定と訂正。
「違う・・・足りないです」
「・・・・どこがいい?」
私の言葉に軽く噴いたように、でも決して嘲たわけではない笑いを零すとその箇所の明確な答えを求めて唇に触れる。
感触確かめるように触れる指先や、スッと妖艶な眼差しに切り替わった彼にドクンと強く心臓が跳ねて。
「・・・・・胸・・・」
「エッチしたいの?」
「あっ、体痛いのでエッチはしないです」
「何それ!?めっちゃ生殺しプレイ?」
「どうせ傷が痛んであなたも無理でしょう?」
「そうだけどさ・・・」
そう会話の上ではいつも通りの2人健在でも身体的な面ではお互いにボロボロな現状。
私は外傷という外傷はないものの叩きつけられた数回で体が打ち身で痛みを訴え。
彼は言わずもがな。
こんな状態でどちらが攻め込むにしても、あんな有酸素で疲労伴う行為なんてままならない。