夫婦ですが何か?Ⅱ



これだから可愛らしい。


普段は生意気で隙あらば優位に立とうと必死な癖に。


こうして皮肉さ皆無に対応すれば逆にその強気を保てず弱る。


可愛い・・・。


心底・・・、



「・・・・・・好きよ、」


「も・・・頭おかしくなりそう」



今のは本心。


意地悪な駆け引きとかでなく無性に言いたくなって零れた感情。


強すぎるその感情に耐え切れないと言うように目を細めるとそっと彼の顔に自分の顔を寄せて。


その距離10センチ程の位置で確認するように言葉を弾く。



「・・・・・キスしてもいいですか?」



私の今更な確認に今更な驚きを示した彼が双眸を見開き、一瞬思考するような間の後に言葉より早い接触。


そっと唇に添わされた彼の手。


それを確かめるように一瞬だけ視線を落としてすぐにグリーンアイに戻していく。


その意図は確かめるまでもなく、



「・・・・・【出直し】?」



半信半疑の響きで、普段なら逆に言われる立場である彼が馴染みのフレーズを口にして。


それを聞き入れお互いに探るように見つめあうと、彼の指先に触れてそっと静かに阻みの除去。



「・・・・嫌です、」



響かせ、聞き入れないと。すかさず自分の唇を彼の唇に重ねて首に腕を巻きつけた。


技術的な物皆無の密着度高いキスを数秒。


でもすぐに物足りなくなって感触確かめるように啄んで一度ゆっくり離していく。


それでもいつでも再開できるように動けば掠める程度に。


そんな距離で絡んでいるのかもまともに分からない至近距離でお互いの目を見つめ。


唇にお互いの息が熱く感じた瞬間。



「・・・・・『嫌』って・・・、反則技なのに可愛すぎて怒れないじゃん・・・」


「・・・・あなたには・・・あの言葉は扱えないのですよ。・・・・少なくとも私には・・・」


「・・・・っとに・・・、ああっ・・もうっ!!」


「・・・・はい、」


「どうしていつもエッチ出来ないタイミングに限って千麻ちゃんは可愛い反応しちゃうんだよっ・・・、生殺しきつくて不能になりそう・・・」



心底不満だとその顔は赤いくせに眉根を寄せ不貞腐れたような彼に、軽く噴き出すと反論を返すように唇を塞いだ。


今度は濃密に濃厚に。


さすがに自制心働かせ私を押し返した彼。


・・・な、筈もなく。


受け入れるように私の背中に回った手の熱に口の端を上げた。


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