夫婦ですが何か?Ⅱ
「まぁ・・・良くも悪くも・・・2人共気分屋?」
「・・・・気分で結婚や離婚を?」
「いや・・一応ね、擁護すれば愛情はあるのよ、あの2人も。ただ・・・ほら、孝太郎というよりは莉羽ちゃんが一風変わった感性と言うか・・・・」
「はぁ、」
「絵を描くことが一番なんだよね彼女って、だからそれを妨げるような煩わしい感情抱くのが嫌なんだって」
「つまり・・・縛られたくないと。・・・自分のペースで過ごせるのが第一だと?」
「うん・・・まぁ、そんな?孝太郎もその辺理解して莉羽ちゃんとつき合ってるからねぇ。そんな孝太郎を莉羽ちゃんも好きって言うか・・・・・・・・・なんかややこしいな・・・・」
「まぁ、とにかく・・・あの2人は異色ではあるけれど2人のあり方で相思相愛なんですね?」
「・・・・・そういう事です。ご理解ありがとう」
「そんな2人のペース乱すべくあなたが横恋慕したと、」
「ええっ!?そこぉ!?ってか【恋】ではないし!!」
ここに来て榊と彼の因縁に触れれば、そこはスルーさせる物だと思っていたのか目に見えて動揺見せる彼。
違う違う。と顔の前で両手を振って必死で【恋】ではないとアピールして見せる姿に内心ほくそ笑む。
いや、そんなに焦らずとも分かってますって。
これは単に意地悪ですから。
「だから余計に榊さんは不愉快なのでは?あなたの複雑な心情なんか知ったこっちゃないでしょうし」
「千麻ちゃん・・・裏を知っててのそのセリフ・・酷い」
「あくまでも、榊さん視点での感想です。・・・・仮に、私が莉羽さんの立場で榊さんがあなたの置かれたような状況になり一夜を共にしたら・・・・・・あなたは仕方ないと納得しますか?」
「・・・・・・・・・うわぁ、【納得する】って心大きい感じに言いたいけど絶対に偽善だ・・・。無理・・・、絶対に一生根に持つ・・・」
「それが榊さんの心情でしょう」
「食べ物の恨みは恐いな・・・」
「女性を食べ物扱いしないで頂けますか?」
呆れた発言に目を細め眉根を寄せると、特別言葉を返すでもなくじっと見つめ返してくる彼に疑問の投げ返し。
いったいどういう意図の視線なのかと更に目を細めて見つめ返せば、スッと伸びた彼の指先が私の手に絡み付くと引き寄せながら顔の位置まで持ち上げる。