夫婦ですが何か?Ⅱ




ーーーーOne Nightーーーー




目が眩む。


与えられる熱に、刺激に。


繰り返し存在を刻まれるような律動がいつもより激しくて濃密なのはいつもよりアルコールの摂取量が多いから?



「・・っ・・ん・あっ・・・」



グイッと突き上げられるような態勢と律動に思わず声を漏らせば、計ったようにクスリと意地悪に笑った彼の嫌味な仕草。


静かに、と言いたげに人差し指をその唇に当てて、チラリとベビーベッドに視線走らせ眠り姫の様子伺い。


そう簡単にあの子が起きないことくらい知っているくせに。


そう思っても口にはせず、嫌味に対して抱いた不満を示すように一番近い肌に歯を立て噛みついた。


勿論・・・甘噛みで。


ちょっとした刺激に彼が声を上げる筈もなく、むしろ愛らしいとじゃれついた犬をあやすように私の頭を撫でてから同じように首筋に歯を立て刺激して。


彼に至ってはその箇所だけでなく、徐々に肌を下降して、更には紅い印まで刻んでいくから性質が悪い。


所有印。


それも絶対的で貪欲な。


何か所つけるつもりかと非難しようか迷った瞬間の刺激。



「んんっ・・・」


「んっ・・かーわいい・・・」


「いい加減に・・・」


「しないよ?」



子憎たらしいくらいの妖艶で甘ったるい表情と声音、・・・そして愛撫。


今程も私の微々たる胸の先端を甘噛みし、再び同じように軽く歯を立てた後に焦らすように舌先でくすぐる。


いつもは程なくしてやめる意地の悪い刺激を悪戯するように反応を見ながら続ける男。


彼も酔っているなら同じ量を飲んだ私も同等。


普段なら耐えきれるそれに軽く身を捩り、そして止んでしまった律動に体が疼く。



「・・・ね、・・動いて・・・」


「ん~?・・・・どうしようか?」



ああ、アルコール効果。


久しく家では見ない・・・私の前では発揮しないSっ気具合を披露する彼は程よく酔っている。


本来他の女にはこうであったであろう姿。


それこそ一度目の結婚当初はこの姿勢で攻められていた物だと回想してしまうほど。


そしてどこか懐かしい。


そんな懐かしさが浮上して浸っている段階で私もアルコールに呑まれかけているのだと後で理解する。



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