夫婦ですが何か?Ⅱ
「えっと・・・すみません。取り乱しました」
「ん?いや、なんか見てて楽しかったけど。俺の前じゃ絶対に見せてくれないんだろうなぁ。って」
「・・・・嫌味ですか?」
「嫌味ってか・・・事実でしょう?俺の前じゃクールでドライな奥様じゃん・・・・まぁ、激しい部分もあるけど・・・・主に夜に、」
「っ・・・DVで訴えますよ?」
「過去にセクハラで訴えるって散々言って行動した事ないじゃん」
「決して浮れない届けに判は押しましたが・・・・」
「そ、そこぉ・・・、確かに押されましたけどねぇ・・・」
「つい最近も家庭内別居やら締め出しやら盛りだくさんだったかと?」
「・・・・それは・・・解決済みだしぃ・・・」
「・・・・今、まさかのタイミングで私の過去に触れる機会になっているんで・・・・・あなたのも触れてもいいんですよ?」
「・・・・」
「・・・・爛れた初体験の内容・・・とか?」
「すみません。・・・人前でもう絶対にセクハラ発言しません」
結局は言い負かされる形になり白旗を上げるように視線を逸らして、それを良しとするように鼻を鳴らした彼女がその視線を彼に向けた。
彼と言えば軽く呆然としながら今までの夫婦関係を傍観していて、彼女の視線が移ると同時にその口の端を僅かに上げる。
「ち・・千麻・・・なかなか・・・茜君には攻撃的なんだね?」
「ああ、気にしないで。あれは躾だから。躾のなってないいい所のボンボンな夫を今一生懸命我が子と一緒に成長させているのよ」
「千麻ちゃん酷い!!俺って翠姫と同等!?」
「ダーリン酷い。同等なんて・・・翠姫に失礼でしょう?」
「ええっ!?翠姫にも俺劣ってるの!?」
「・・・・・・去勢してない・・・犬的な?」
「千麻ちゃん・・・・酷い・・・・」
「ふっ・・・ははっ・・・本当だ・・・・千麻って茜君にはSっ気強い奥さんなんだぁ」
堪え切れないと拭きだした拓篤さんが、聞いていた通りだと言葉を零してクスクスと笑う。
その言葉の内容に目を細めた彼女が静かに俺を捉えて非難の視線。
射抜くようなそれに苦笑いで目を逸らせば、逃がすはずのない彼女の追い打ち。