夫婦ですが何か?Ⅱ




「・・・・コンプレックスになりそうですか?・・・女顔」


「女顔言うな・・・。別に、俺この顔で人生損してないし」


「中一で爛れた関係持てたくらいですからね」


「だからぁ・・・爛れてないんだって。彼女とはそういう風になる前から親しかったって言うか・・・」


「・・・・幼馴染か何かですか?」


「・・・・まぁ・・・・そうなるのか?俺が慕って通い詰めてた感じだなぁ・・・・」


「・・・・・中一でストーカー」


「ねぇ・・・何でそんな俺を犯罪者的なイメージにしたいの?」



汚名返上とばかりに気まずいその内容を自ら語ったというのに、更に悪質な名称を添付され返された。


それに不服を述べるように眉根を寄せれば、楽し気に口の端を上げた彼女に一瞬で不愉快の感情なんで打破。


本当に・・・・可愛い。



「・・・・千麻ちゃん、・・おいでぇ」


「・・・・嫌です」


「何で拒絶!?」


「なんとなく・・・」



両手を広げて自分の腕の中に招き寄せれば、まったく微動だにせず冷静な上目遣いの眼差しで見つめていた彼女のまさかの拒否。


分かりやすく不満顔を作って非難しても一向に動きを見せない彼女に痺れ。


どうしても抱きしめたいんですよ俺は。


そんな自分勝手な言い分を頭に彼女の返答関係なく小柄な体を奇襲的に引きよせると抱きしめる。


子供がぬいぐるみを抱きしめるような感覚で。


その瞬間は呆気にとられていたらしい彼女が不意に正気に戻ったらしく。



「ちょっ・・・嫌だって言ったじゃないですか」


「・・・『お前に拒否権はないから』」


「・・・・・何少女漫画のヒーローが言いそうなセリフ言ってるんですか?」


「あっ、分かってくれた?いやぁ、漫画好きな千麻ちゃんに合わせたらこういう感じのが嬉しいのかなぁ?って」


「あまり少女漫画は読みませんが。そしてリアルに言われるとクサくて気持ち悪いです」


「少女漫画顔負けにいい男っしょ?俺」


「だから逆に痛いですよ?『いい男なのに・・・』と残念な感じに見られるかと」


「うーん・・・女の子って難しいな」



彼女を抱きしめたまま会話は全く色気のない内容。


それでもそれが自分たちのあるべき空気感で安心もする。


皮肉な言葉でさえ愛おしくて。


無表情であっても可愛いと感じる俺は末期かな?



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