夫婦ですが何か?Ⅱ
「千麻ちゃん・・・ね?ごめんね?」
「・・・・」
「・・・・・・千麻?」
一向に許されない感じにもどかしくなって、トンと軽く額を彼女の頭に寄せると名前を静かに響かせる。
その名前の響きに全ての謝罪を乗せて。
下手な言い訳より効果のあったらしい響きでようやく溜め息交じりに戻された視線。
でもその目にはまだ不機嫌の継続。
「・・・・・誰かの代用品なんてあの最初の結婚だけで充分です」
「・・・・すみません。でも今は別にそういう感じに思いだしてたわけじゃあ・・・」
「どんな理由があっても・・・・私に触れながら他の人を思いださないで」
「・・・・・・もしかしなくとも・・・・嫉妬ですか?」
「嫉妬ですが何か?」
「・・・・・・・大好きですけど何か?」
「切り返しおかしくないですか?」
「だって・・・なんか愛おしくなっちゃったんだもん」
彼女の両頬をギュッと包んで額を合わせる。
まだ怒ってるんだぞ。表示継続の彼女でも今は愛らしくて。
ああ・・・もう・・・、
昼間からの自主的『待て』の限界。
一瞬で沸点到達の欲情にクラリと逆上せた感覚で彼女をソファーに縫い付けると間髪入れずに首筋に甘噛み。
同時に服の中に手を忍ばせれば、驚きながらも瞬時に俺の奇襲を阻んでくる彼女。
「なっ・・・何いきなり盛ってるんですか!?」
「ん?千麻ちゃんが可愛すぎるのが悪くて、・・・仲直りするにはエッチが最適かなぁ?って」
「アホですか!?だから狂犬だって言うんです!!」
「うんうん、もうそれでいいよ。Sなご主人さまに従順な愛犬ですよぉ」
「ちょっ・・・」
詰るような言葉に否定を返してインターバルを取る気はなく、むしろ肯定しながら愛撫を続けて。
首筋から胸元に下降する唇と、反して腹部から胸に上昇する手。
珍しく悶えて抵抗する彼女に軽く疑問を抱くも自分の欲情を止めるほどの効果はなく、躊躇う事なく彼女の背中に指先を這わすと下着の金具に手をかける。
「・・っ・・ちょっと・・・・だから・・・駄目ですって!!」
「っ・・・」
あれ?
あらら?
珍しく本気の抵抗としての力を真正面から受けて。
俺の顔と胸元を力いっぱい押し返した反応に一瞬は怪訝な表情で見下ろしたけどすぐに解除。