夫婦ですが何か？Ⅱ

「・・・っ・・フッ・・ハハッ・・・・」


「・・・・・ダーリン？」


「・・・・・・・・・・困る」



意味もなく失笑。


そしてそんな自分に片手で頭を抱えて苦笑いに切り替えて。


そんな俺を慎重に探って見つめている彼女に視線を戻すと力なく微笑んで見せ暴露。



「・・・・・・やっぱり・・・嫉妬してるみたい」


「・・・・」


「拓篤さんの事は嫌いじゃないし・・・、良い人だと思ってる。でもやっぱり・・・・・千麻ちゃんの事大好きな俺は俺の知らない千麻ちゃんをいっぱい知ってる拓篤さんに嫉妬してる・・・・」


「・・・・・・・馬鹿・・・」


「うん・・・馬鹿ですよ」



フゥッと息を吐いて軽く目を細めた彼女の眼差しは呆れなのか。


それでも怯むことなく肯定を口にして眉尻は下げていたけれどニッと笑って見せて。


どうしても自分の意思関係なく騒ぐ感情に従順に、そっと顔を寄せて唇を重ねようとした瞬間。



「嫉妬はしてもらわなかったら困ります」


「・・・・」


「あなたに嫉妬されなくなったら女として終わったような気がします」


「・・・・そ・・なの？」


「・・・あなたを・・・最後の男として選んで結婚したんです。不道徳に走るれるような性格でもない私ですよ？あなただけに愛されて必要とされる為に・・・。

今の私はあなたの妻である事だけがプライドなんです。

だから・・・嫉妬してもらえなかったら・・・自分の存在価値がなくなったみたいで・・・」



その言葉の続きは言わずもがな。


濁して言葉を打ち切った彼女が眉根を寄せて視線を逸らしたけれどその頬は紅潮していて。


一瞬呆気の取られて目を丸くしたけれどすぐにふわりと笑ってしまった。


可愛い・・・。



「・・・・嫉妬するってのは・・・相手に愛着や執着あってだからね」


「・・・・あなたは・・・・私の物です。感情的にも法律上でも」


「それ・・・最高の独占欲。・・・でも漫画っぽいね」


「漫画のヒーローが言いそうな言い方をしてみました」


「カッコイイ・・・」



賞賛の言葉を小さな笑い声交じりに向ければ彼女の口元が弧を描く。


俺もね・・・千麻ちゃん。


千麻ちゃんが嫉妬してくれた瞬間、焦ったけどどこかで歓喜してたんだ。


いつも男前で、俺の事を信じてます。ってサラッと気丈でいることの方が多いからさ。


それはそれで芯の部分では信頼されてるって安堵の感情はあるけどさ。