夫婦ですが何か?Ⅱ
妖艶で綺麗で扇情的で。
あの頃には知らなかった彼女の姿。
あの頃よく知っていると思っていた彼女は微々たる一部分に過ぎなかったのだと今はよく分かる。
もしさ・・・あの頃にこんな千麻ちゃんを知っていたら・・・。
案外簡単に恋愛感情抱いていたのかもしれないよ。
「・・・・・エッチ・・・」
「腹筋触っただけですが?」
「触り方が・・・・イヤらしい」
「・・・・少しでも萎えるのを防止しようかと」
「・・・・な、萎え・・」
「ってか・・・・セックス中にグダグダ語るな」
「・・・・」
「何ですか?したいんですか?したくないんですか!?後者なら時間の無駄だから退け!前者なら強引に始めたんだから私が満たされるまで全力疾走!!」
「う・・・うわぁ・・・カッコイイ~・・・男前な啖呵・・・・」
どうやら彼女の我慢の沸点越え。
インターバルが長すぎだと非難する眼差しと言葉に苦笑いで反応すれば、小さく舌打ちした彼女が次の瞬間にはその身を起こして噛みつく様に口づける。
そのまま上下の入れ替えを求めて胸を押されて視点の切り替え。
唇から離れる距離でようやく彼女の表情を捉えて、インターバルなんて忘れるほど逆上せた。
俺って・・・M?
見下ろす彼女も綺麗で可愛くて大好きだけどさ・・・、
「・・・・・茜・・」
見下ろしてくる千麻ちゃんのが何よりも綺麗で誘惑的だと感じる。
うっかり見惚れて不動でいるとクスリと困ったように笑った彼女の一言。
「私・・・・こうやって見下ろすあなたが好き・・・・」
「今・・・同じような事考えてた」
「・・・・夫婦ですね」
「ん・・・夫婦だね」
「じゃあ・・・・それが哲学の結論という事で・・・
欲という本能のままに・・・馬鹿みたいに求め合いましょうか」
彼女の締めの言葉と同時に欲への再会の言葉に小さく噴き出して。
でも同感の意思を指先に込めて彼女の頬に触れる。
「・・・・俺だけを見てろよ」
「フッ・・・・クサイ・・・」
「うん・・・恥ずかしい」
そんなやり取りが冷静さの最後。
その後は・・・・。
記憶もぼやけるほどの本能の時間。