夫婦ですが何か?Ⅱ




そうして感じた過去と変わらぬ感覚を口にすれば、視線をこっちに移していた拓篤が不意にその目に動揺映してソワソワとしだす。


逆にその姿に疑問を感じ、どういう動揺であるのか眉を寄せて彼を覗き上げるとチラチラと視線を合わせて時々更に下降する。



「・・・・何?」


「ん?ああ・・・いやぁ・・・」


「言いなさいよ。なんか落ち着かないじゃない」


「や、あの・・・えっ・・・と・・・その・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・首・・・」


だいぶ間をあけて響いたのは静かでなかったら確実に聞き漏らすほど小さな声での返答。


何とか拾い上げた単語に一瞬怪訝な表情で頭で反復して理解。



「あっ・・・」


「・・・その・・・・・・な、仲良しだね・・・・茜君と・・」


「チッ・・・やっぱり帰ってきたら縛りつけてお仕置きが必要かもね」


「ち、千麻っ!?そんな暴力的な事は・・・・・で、でも・・その図はちょっと見てみたいかも・・・衣装付きで」


「・・・・・・言っておくけど女王様なコスプレをプライベートでしてる記憶は一切ないから」


「あ、あ・・・そう、・・そうなの?」


「何残念そうに微笑んでるのよ・・・・。元カノの夜の夫婦事情に」



呆れた。と目を細めて非難して見せると、分かりやすく焦ったように両手を顔の前で左右に振り。


そんな瞬間に彼の都合よく開くエレベーターの扉。


神の助けとばかりにその扉を指さし微妙な笑みで『行こう』と示してそそくさと出ていく後ろ姿を見つめ。


フッと思わず眉尻を下げ、反して口の端を上げ困ったように笑ってしまった。


変わらない。


本当に・・・変わってないわね拓篤。


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