夫婦ですが何か?Ⅱ





今は・・・、



「焦らさないで・・・・、」


「珍しい・・・おねだり?しかもそんな可愛らしく?」




彼がSで攻めるつもりなら従順に下手でおねだりを口でして、その唇をしっとりと彼の唇に押し当て引き寄せた。


アルコール度数の高いキス。


更に酔いが深まってお互いに溺れて乱れて・・・。


いかがわしい映画の1シーンの如く。


お酒のせいでもともと高い体温の上昇と有酸素運動の激しさで肌も汗ばんで。


触れる肌が滑ってもどかしいくらいに。


髪が張り付く、頬に、体に。


彼が私を愛する要素の一つ。



「・・・・千麻・・・」



ああ、逆上せそう・・・。


呼ばれた名前の響きに言いようがない程感じて震えて、痛い程埋められぶつかる肌に理性の決壊。



「・・・・っ・・・茜・・」


「んっ・・・・・・・な・・に?」



ああ、馬鹿だって・・・酔ってるんだなって・・笑わないで。


ううん・・・酔ってたんだって聞き流して・・・。




「もっと・・・」


「うん?」


「もっと・・・、私が・・・」




そこまで言って言葉を濁す。


さすがにギリギリで微々たる理性が羞恥を感じさせたから。


でもこの男はすんなり逃がすような生易しいそれじゃない。


濁した分だけ自分には有利な内容だと理解するや否や、体を起こし今まで激しかった律動の停止。


見下ろしてくるグリーンアイは意地悪で綺麗だ。


乱れて湿った髪の扇情的な事。



「・・・・・言って・・・」



誘うように唇に触れてきた指先が躊躇いもなく口内に滑り込んで舌先をくすぐって絡め取って。


もう片方の指先が意地悪く腰を滑る。


S全開。


これもお酒が理由であるなら・・・。




「・・・っ・・・刻んで・・」


「・・・・・何を?」


「・・・・私が必要だって・・・・、もっともっと・・・・しっかり・・・抱きしめて・・・・離さないで・・・・・」




これも・・・・お酒が言い訳な馬鹿みたいな本心の暴露。


どこの安いセリフなんだか。


陳腐で面倒な女みたいで、絶対に普段の私からは零れないセリフなのに。


言いたくなったなんて。

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