夫婦ですが何か?Ⅱ
確かに思い合っているのに歯車がずれて、阿吽の呼吸だった筈が食い違って立ち止まる。
分かってる。
全部私の勝手なつまらない嫉妬のせいだって。
「いいじゃないですか。・・・翠姫も懐いてるし、あなたも懐かしく思い出話に盛り上がって。私がただ拗ねているってだけの話でしょう」
「拗ねてるって・・・・、そんな規模じゃないでしょ?さっき千麻ちゃんが自分で言った通りに、千麻ちゃんがこうなる時って自分じゃどうしようもなく精神的に参ってる時じゃん。
言ったでしょ?俺これでも千麻ちゃんのそういう部分も理解して傍にいるんだよ?絶対に前みたいなすれ違いは嫌だから見放さないよ?」
「っ・・・・」
必死を垣間見る響き。
当たり前だ。
過去に痛く辛い経験があるのだから、応用効かせて今この瞬間に必死にもなるのだろう。
それだけ私の必要性をその言葉の内に理解するのに・・・・。
「・・・・とにかく・・・紅ちゃんには帰ってもらうから・・」
「だからっ・・大丈夫だって言ってるじゃないですか!?今追いだすように紅さんを帰したら余計に自分に嫌悪する!
全部自分がいけないんだって、自分がなってない・・・理解のないダメな女だって・・・」
「っ・・じゃあ・・・じゃあっ・・・どうすればいいんだよ!?千麻ちゃんはどうしたいっていうの!?」
「私はっ・・・」
分からない。
分からないんですよ。
つまらない嫉妬とプライドが私の中では知らず知らずに大きなものであって。
こうなって初めて私もそれに気がついたんです。
嫌なんです。
だって、なんか・・・
なんか・・・。
私と彼女が似ている気がして、
馬鹿な予想で、そう言われたわけじゃないのに・・・根本の不安は、
もしかして・・・彼女の類似した自分だから彼に好かれる要素があったのじゃないかって。
それが醜悪な比較で被害妄想に満ちる今の私の元凶。
そして比べてしまえば・・・勝てないんじゃないかって。
そんな不安から、
そんな不安を誤魔化すように私の矛先は狂って、
「っ・・イライラして・・・、」
「・・・・何が?」
「イライラするんです。・・・・あなたの反応の節々に、」
「・・・」
矛先が・・・・あなたに・・・。
嫌で嫌で・・・・大好きだから・・嫌なのに・・・。
「楽しそうに笑って、・・・昔の感覚に浸って懐く様に会話して・・・、素のままのあなたで彼女に笑って困って懐く感じがイライラするんーー」
「だって・・・・だって、今も大好きだもん!!」
「っ・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、」
感情的に八つ当たりの様な悪態をついた私の言葉。
でもそんな物を見事粉砕した彼の一言にザワザワ煩かった胸の内が静止した。