夫婦ですが何か?Ⅱ




彼の呆れる程強い私への愛情と愛着に無表情で拍手を返せば、当然疑問に眉を寄せた彼の覗きこみ。


補足を告げれば、


「あなたという人は・・・、つくづく不憫でMな感覚の持ち主だと再確認いたしました。打たれ強いといいましょうか、」


「それって褒められてるの?呆れられてるの?」


「・・・私に見切りをつけた方が幾分か楽であろうに、あえて迷走し疲労伴う愛情なるものに忠実なあなたへの賞賛でしょうか?」


「えっと・・・」


「まぁ、平たく言えば・・・

愛してるのよダーリン」


「っ・・・」


「でも、愛してるが故に可愛さ余って憎さ百倍。今はあなたに無関心でいたいというか、」


「千麻ちゃん・・・」


「・・・悩みたくないので極力避けたいと言うか、」


「おーい・・・」


「でも、妻として一言・・・」


「うん・・・、何?」


「・・・出稼ぎに行かない旦那は愛情深くとも必要ないかと、」


「っ・・・」



上げて落として。


私の言葉や感情に見事振り回され、喜怒哀楽の百面相の披露をする彼の現在は・・・苦悶の不満顔。


そんな彼が現状で必死に弾いた【愛のある】捨て台詞。



「可愛さ余って・・・・っ・・・帰ったらみっちりじっくり語って解消して子作りに励んでやる」


「・・・馬鹿ですね」


「【千麻ちゃん馬鹿】が正解かな」



ああ、この人は・・・。


何を言っても、どんな態度でも・・・無駄。


事は何も変化なく悪化したままであるというのに楽天的に笑って愛情見せて。


本気で悩んで迷走した自分が馬鹿らしく思える程。


彼のペースにいつの間にか呑まれて、何故こんな事になっていたのかも忘れそうな。


まぁ、忘れませんけどね。







無意味な嫉妬から捩れて拗れて、


自分でも予想外、予測不能のふりだしスタイル。


馬鹿げていて無意味な時間だと思う。


でも、戻り方がわからないの。





どうしましょう?




迷走の先は?








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