夫婦ですが何か?Ⅱ
「本当・・・千麻ちゃんって時々分からないツボに入るよね」
「くっ・・くくっ・・・す、すみませ・・ははっ・・・」
「あ~、もういいよ・・・気がすむまで笑って、気長に待つから・・・」
完全に呆れと諦め一色。
片手で顔を覆いながらもう片方の手で笑う事を促すように振って示し。
それに従順に気がすむまで笑うと荒い息を抑えるように深呼吸して体を起こした。
久々に笑えば腹筋と頬筋が痛い。
痛む頬を両手で押さえながらようやく彼の表情と対峙すれば、不満なのか呆れなのか。
目を細めてじっと見つめる姿が軽く息を吐いて声を響かせた。
「で?・・・落ち着いた?」
「ええ、いい運動な程笑わせて頂きました」
「いや、俺笑わせる気一切なかったからね?かなりセンチに語ったつもりが何故か千麻ちゃんのツボにはまっただけで」
何が可笑しかったんだよ?
そんな風な意味を含めての視線と溜め息に、再びうっかり思い出し笑いしそうな心情押さえて息を吐き。
告白。
「いえ、・・・『ポケットにしまいたい』と言われた瞬間に、いくら私が小さくても無理だろう。と冷静に突っ込んでしまい、直後にポケット繋がりでスモールライトが出てきてドラ〇もんに直結し、私は秘密道具か!?と突っ込んでツボにはまりました」
「ねぇ・・・普段真面目な千麻ちゃんの思考回路ってどうなの!?なんかすっごい長い前置きだよね!?ってかあの雰囲気の中ドラ〇もんとか出てきてたの!?そりゃ笑っちゃうよ!!ギャップデカすぎて!!」
「でしょう?ですから頬筋と腹筋痛むほど笑ったんです」
「なんだろう・・・そのズレた感覚とかすんごく戸惑うけど・・・」
淡々と真顔で笑った理由を暴露すれば、まったくの予想外の理由に驚愕と焦りで突っ込む彼。
そして、お手上げだと脱力した苦笑い浮かべ乾いた声で『あ~』と意味のない音を響かせて数秒。
不動な彼をじっと見つめていれば、スッと動きを見せた手が私の手首を掴んでクイッと引き寄せた。
トンと軽い感じに彼の胸に当たって捕まり、キュッと抱きしめられ落とされた言葉。
「も・・・本当・・・ズレたとこも面白くて可愛いわ・・・。
それだけで・・・今はもういいや・・・・」
何なんだか・・・・その理由・・・。
まぁ、・・・この腕の中の居心地が戻ったから・・・いいですかね。