夫婦ですが何か?Ⅱ




「分かってると思うけど・・・・・、千麻って・・・我慢しやすいから」


「・・・うん」


「自分の感情より・・まず、人のをって・・・、それで・・・自分も気がつかないくらい追い詰めちゃって、動けなくなって・・・」


「うん・・・・うん、知ってる・・・」


「そ、そうだよね。・・・・ごめん、余計な一言だったね、」


「・・・・・拓篤さん、」


「・・・うん」



多分・・・きっと・・・、



「・・・・千麻ちゃんのご飯、・・・無駄にしないでくれてありがとう、」


「・・・・・・・うん、」



ぼんやりとしながらも最初に優先されたそれ。


きっとこの人が無駄にすることなくそれを受け取ったのだろうと確信をもって予想して。


何を偉そうにこの人に言えたんだろう。


千麻ちゃんの気持ちを汲んで昨日からずっとフォローしてくれていたのは拓篤さんの方だ。


情けない。


でも・・・・どうしていいのか分からない。


分からないよ・・・千麻ちゃん。


紅ちゃんを断絶してほしいわけじゃないんでしょ?


でも、今までの継続では追い詰められて。


ねぇ、千麻ちゃんが苦しくなる原因はどこ?


迷走・・・・。




「あー・・・・・デジャブ・・・」




もう二度と味わいたくなかったその瞬間に類似。


思い合っているのに噛み合わなかったあの過去の・・・。


そして過去のその時間の先に向かえたのは・・・。



「・・・・・・最悪、」


「・・・茜君?」


「ん・・・・大丈夫です。・・・大丈夫、・・何とかしますから、」


「うん?」



不安そうに俺を覗き込んだ姿に『大丈夫』だと言いながらようやくその身を動かし始めて。


ふらりとした足取りで完全に遅刻である仕事に向かう。


大丈夫。


絶対に・・・『大丈夫』にしてみせないと。


もう絶対に、


あんな絶望はごめんだ。


でも・・・でもさ・・・・、




ごめんね?


乙女心が全く分かってない俺はさ・・・、



千麻ちゃんが紅ちゃんの何に反応しているのか分からないんだ。








迷走。


闇雲に走って、


走って、走って・・・、





行きつく先は?




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