夫婦ですが何か?Ⅱ



無表情継続で問われた気持ちの確認。


本当に興味があるのか謎なくらい感情を感じない表情なのに、答えを求めてまっすぐにその目は向けられる。


そして、


この質問の意図は何でしょうか?




「・・・・・それを・・・お答えする義務はないかと、」


「うん、・・・・ただ、聞いてみたかっただけ。あなたから見る茜はどんななのかなぁ?って」


「・・・・どんな?」


「・・・・・ほら・・・、あの子って姿や言動ばかりは大人びて、一般的に見たらパーフェクト男子に見られて、本人もそれを演じてるでしょ?」


「・・・・・はい、」


「それに群がるおバカさんな女の子達の一人ならあなたは選ばれてないだろうし」


「・・・・」


「・・・・本当のあの子って・・・抜けてて、甘えっ子で、放っておけないのよね。・・・・まぁ、これは私の視点だけど」



それは・・・・


私からの視点でも同じ彼を捉えてますよ。


彼女が知っている彼の姿は、自分が知っている姿と寸分違わぬ。だ。


だからこそ、【勝って私だけが知っている】、という部分を見いだせずに消沈してしまう。


彼女は知っている。


私しか知りえないと自信を持っていた彼の姿を。


もしかしたら、私の知らない彼の姿も。


それは仕方のない事だと理解しているのに。



「・・・・・・ねぇ、」


「・・・はい、」


「・・・・・あの子ってまだ、いじけると背中向ける?」


「・・・・」


「アレされると逆に虐めたくならない?」


「・・・・」


「で、虐めると嬉しいやら困るやら・・・絶妙な表情するのがこっちは楽しくて・・」


「・・・・」


「そう言えば・・・・・・・あの子って、愛着ある相手は【ちゃん】づけするの。・・・・癖なのかな、」



あっ・・・。


本当だ・・・。



『芹ちゃん』

『紅ちゃん』


『千麻ちゃん』




ああ、少し・・・。


今まで何とも思わなかった響きが少し・・・。


鬱陶しい。



「やっぱり・・・・茜のお気に入りなのね、あなたも」



お気に入りというより・・・、


それ以前に、


一応、【妻】なんですけど。


そして何が一番堪えるかといえば。



語る彼女はさした感情なく、思いついたままに言葉を弾いているという事に。


思いついたまま、


深い意味もなく、


私を攻めたいでもない。


いっそ・・・


嫌味に攻めたいという姿勢であるなら私もどれだけ楽でいられるんだろうか。






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