夫婦ですが何か?Ⅱ
何が仕事?
仕事だと割り切った気でいてあっさりと心乱されて。
割り切ったような見せかけも彼の前でしか装えない。
劣等感抱く彼女の前では通用しない。
どんどん嫌な自分になって、【軽薄】な独占欲に満ちていくんだ。
軽薄・・・・か。
今までその独占欲でさえ誇りであった時間。
それを端から覆されたような感覚に、可笑しくもないのに空笑いして冷蔵庫に寄りかかって。
ぼんやりと自分の存在価値を探して脱力する。
「・・・・・分からない、」
昨日までは確かにあった自信が一瞬で崩れてしまって、いくら彼に愛情囁かれても自分でそれを認める物を見つけられない。
私がいなくては、
そう思える要素が見つからない。
どうしよう・・・ダーリン?
傍にいたいのに隣り合う自信が持てなくなってきてる。
「・・・・相変わらず・・・・馬鹿なプライド・・・」
自分の馬鹿馬鹿しい思考に呆れて失笑もするのに。
厄介な事にこの性格は変えられない。
隣り合う自信や資格なんてそもそも考える方がおかしいのに。
彼女が言ったように、どっちがどれだけ彼を知っているかが問題ではないのに。
じゃあ、・・・そこまで自分で理解していて、私はこれ以上何を求めて事を複雑化しているんだろう?
あっ・・・パンクしそう・・・・。
空気を抜かないと、
ここじゃないどこかで。
落ち着く場所で。
悲しいかな・・・・落ち着く場所であったこの部屋ですら今は呼吸がままならないんだ。
「・・・・・っ・・えっと、」
「・・・・・・入れて」
「いや・・・えっと、その・・・」
「入れて、」
「・・・・・・はい、」
なんて強引な訪問だろう。
このままでは精神的に限界だと翠姫を抱えて叩いた扉は隣室。
何故か恐る恐る苦笑いで顔を出したのは拓篤で、それでも私の表情が鬼気迫る物であったのかすぐにその扉を大きく開いて。
困惑の眼差しで捉えた私は無表情であっても感情的だったのだろう。
どうしたの?と言わんばかりに覗き込んできた姿に、睨むように視線を向けて発した言葉はさっきの様な強引な要求。