夫婦ですが何か?Ⅱ




自棄になって突発的な犯行に及んでしまったのか?


本気で報復に悩む拓篤の溜め息の重い事。


そんな姿に何と声をかけていいのやら。


ってか・・・、本当にしたの!?


拓篤が!?


虫も殺せなそうな癖に!?



「何ていうか・・・、野性的に成長したって・・・」


「千麻、・・・その精一杯のフォロー、なんか苦しいよ」


「・・・・・まぁ、成るようにしかならないわね」


「うん・・・今から覚悟決めておく・・・」



何とか必死に浮かべた笑顔が痛く見える。


それでも、これ以上話題を続けたら本気で精神的に落ち込みそうだと口を噤んで。


本当の用事を忘れていた冷蔵庫を再度開くと中を物色。


でも、男の一人住まいって感じよね。


食材になりそうなものが全くと言っていい程見当たらない。


自分の部屋から調達してきてもいいけれど、・・・・アレルギー源が・・・。


さっきからメールの度にその不快感に襲われて、なのに対面したら本気で吐いてしまうかもしれない。


自分の苦痛の予防もあったけれど、これは彼の為でもある予防だ。


私が目の前で吐きでもしたら・・・きっと彼を傷つけるから。


小さく溜め息をつくと冷蔵庫を閉めて、ゆっくりと立ち上がるとキッチンから抜けて廊下に足を進め始める。



「千麻?」


「ちょっと、翠姫見ててくれる?」


「・・・・・茜君に会いに行くの?」


「・・・何で?わざわざアレルギー源に会いに行く筈ないでしょう?」



何を言っているのか。


今だって不調な私の姿を見ていたではないか。


そんな感じに言葉を返せば、それでも何故か困惑したように私を見つめる拓篤が疑問をぶつけて。



「で、でも・・・茜君って・・料理出来るの?」


「・・・・ある意味素敵な芸術的センスをお持ちだけど?」


「で、出来ないんだ・・・」


「彼の作った物を食べる前には胃腸薬を準備しなければいけないわね」


「じゃ、じゃあ・・・尚の事さ・・・・いいの?」


「だから、何が?」


「あ、朝ごはん・・・・作ってこなくていいの?」



ああ、


その問題ね。



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