夫婦ですが何か?Ⅱ
彼の望んだ言葉を自分なりにアレンジし、更に愛情上乗せで言葉を返せば。
分かりやすくその顔を赤く染めあげ、すぐに力のない笑みで歓喜を示した彼がようやく壁からその身をはがすと私を抱きよせる。
特別それに抗うでもなく、引き寄せられるまま彼の腕に閉じ困られると自分も脱力。
ようやく、
そう、ようやく・・・心穏やかに彼の腕の中に納まったと。
情緒不安定の後初めて。
「・・・・・やっと・・・・欲求不満解消・・」
「・・・色々と、ご迷惑おかけしました」
「ん~?でも・・・結果オーライでしょ」
「そうですか?ほとほと・・・私と言う女に呆れて、さすがのあなたも手放すかと、」
「無理無理。・・・言ったでしょ?そう簡単に千麻ちゃんを嫌わないって。欠点ですら美点に見えて困ってる」
「良かったです。世の中にあなたの様なキチガイでどMな趣向の勝ち組男子がいて。私の今後は安泰ですね」
「当然。路頭になんて迷わせないし。千麻ちゃんも、・・・子供【達】もね」
言いながらそっと彼の指先が自分の腹部に触れてきて、まだ何の膨らみもないというのにその存在を確かめるように優しく撫でる。
ああ、この感覚は久しぶりだ。
少しくすぐったい、親になったという事を実感する感覚。
彼に触られることで改めて認識するのだ。
自分の体に彼との子供がいて、更に彼との絆が強固な物になるという感覚。
「少なからず・・・妊娠も大幅影響しての情緒不安定だったみたいです」
「ねぇ~、予想外、予定外。俺もまったく妊娠は頭になかったから、言われても一瞬思考が追い付かなかったよ」
「私も迂闊でした。生理は再開してましたが授乳してましたし、早々排卵はしてないと高を括ってたら・・・。知識的にその様な例もあると知っていたのに、生理周期的に危険日外してるから大丈夫だろうと・・・」
「・・・ミラクルにずれて大当たりしちゃったんだね」
「どうやら私達は快楽的にも子作り的にも相性がいいみたいで・・・どうしましょう?ダーリン」
最後の一言は軽い冗談交じりな確認の言葉。
本気で困っているわけでなく、それだけ自分達は適したパートナーなのだと暗に彼に示してクスリと笑って。
当然、そんな一言の裏を簡単に読む彼は嬉しそうに笑うのだ。