夫婦ですが何か?Ⅱ
「あはは、いいじゃない。まさに一姫二太郎で三茄子まで目指しちゃおうって」
「茄子は無理ですが・・・、とりあえず男の子が生まれるまでは挑んでみたい気もしますね」
「おお、そんなに欲しいの?」
「それで反抗期になった息子の言い分に見事切り返し言い負かしてみたいんです」
「そ、そうなんだ。これまたおかしくSっ気感じる母性愛というか・・・」
「可愛くて、好きな対象を虐めるのが私の愛情表現ですから」
トンと、示すように指先で彼の胸を突いて。
あなたもその対象だと示して微笑めば、一瞬呆けた顔で見下ろしていた彼がすぐにふわりと微笑んで。
「うん、俺・・・千麻ちゃんの愛情命一杯に感じてるよ。・・・当たり前の中にね」
そんな返答に満足して微笑み、さすがにリビングの様子が気になりその身を動かし始めると。
「でもさ、・・・もう一つすっきりしない事があって」
「・・・はい、」
「今回、紅ちゃんにヤキモチやら劣等感抱いてモヤモヤしてたのは分かるんだけど・・・・・何で紅ちゃん?」
「・・・・何でとは?」
「いや、ほら・・・千麻ちゃんの知らない俺を知ってるとか、そんな理由だったら芹ちゃんの時も同じように取り乱したりしたんじゃないかって」
でも、しなかったでしょ?
そんな疑問が顔で腕を組みながら私の返答を待つ姿に、その答えは明確であってもどこか言いにくい感情から口ごもって数秒。
それでも彼が気になった疑問をうやむやに流すはずがない事も理解しているから。
「・・・その・・・似てるから・・・じゃないかって・・」
「・・・似てる?・・・何が?」
ああ、そのますますの疑問顔やめてほしい。
なんだか妙に気恥ずかしい気がしてくる。
「だから・・・・こ、紅さんと・・私が似てる・・から、
・・その・・・私があなたに好かれることになったのも・・・その類似のなした物かと・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・はぁ?」
はぁ?って・・・。
とぎれとぎれにも根本の懸念を口にして、まさにそうだと言われる事に不安を抱いて下を向いて。
そんな耳に響く、長い間の後の彼の呆れたような、小馬鹿にしたような疑問の響きに、さすがにムッとして顔を上げれば。