夫婦ですが何か?Ⅱ
「千麻ちゃんは・・・、美味しいご飯作ってくれて、洗濯も掃除も育児だって毎日頑張ってて。
そんな中で仕事の復帰も目指して努力して、
誰がどう千麻ちゃんを貶しても、俺だけは絶対に千麻ちゃんの努力を認めてあげるから。
千麻ちゃんは昔も今も俺の有能な最高のパートナーだよ」
「っ・・・」
「ま、貶す人なんていない上に、その有能さに惚れ込む人が多くてヤキモキしてるけど」
困ったように眉尻を下げて笑う彼。
でも、困っているのは私の方です。
だって、
だから・・・、
「っ・・・えっ?千麻ちゃん?」
私は、あなたからの賞賛に何よりも弱いんですって。
「・・・っ・・狡いぃ・・・・グスッ・・・」
気がつけばほろりと頬を零れた涙と、それに驚愕した彼の動揺に揺れるグリーンアイ。
おろおろと手を私の肩の位置ほどで宛もなく漂わせ、それでもこの涙に悲観的な意味を感じ取らなかったらしい彼が、再び口元に弧を浮かべ私を覗き込む。
「ここ数日は泣き顔いっぱい見たけどさ・・・・、今のこの泣き顔は結構好きだったりするな俺」
「・・・・妊娠中故情緒不安定で涙もろいんですよ」
「フフッ、・・・そう?」
「そうなんです」
零した涙を今更隠ぺいするように拭って、妊娠のなせる業だと賛辞に弱いことを誤魔化して。
でも、誤魔化される筈もない、むしろ弱いことなど当に知っている彼のやや意地の悪い笑みに一睨み。
「ほらほら、ママがそんな怖い顔してたら駄目ですよぉ」
「この子には見えてません」
「それにしても・・・、いるとは知らず昨日の夜ママに激しい事しちゃってごめんねぇ」
「そんなセクハラな言葉話しかけないでください。胎教に悪い!」
「ちなみに・・・・今夜も借りちゃっていいかな?優しく柔らかく壊れ物扱うみたいにするからさ」
「・・・・・馬鹿、」
スッと身をかがめ腹部に触れながら馬鹿を語りだした彼に、呆れと非難の眼差しで詰って牽制して。
それを予想済みであったとクスリと笑った彼が視線だけチラリとこちらにあげると補足。
でも、子供に向けた形の私への言葉。