夫婦ですが何か?Ⅱ
馬鹿で非常識だと態度でばかり詰ってみせるのに。
ああ、私も大概馬鹿で欲に弱い女なのです。
今日は、
ようやくここ数日の蟠り解けた今日くらいは、彼の存在を確かめるように求め合いたいと正直な心が酷く騒いで。
「・・・・妊娠時マナー・・・守ってくださいね」
「了解~、ストックは大量にある!何しろ買ってもあんまり使ってないから」
「それはドヤ顔で誇って言うものではないですよね?」
「夫婦だし何か問題が?」
「・・・・今後の問題でしょうね」
「ん?」
そう、今現在ではなく出産後の。
理解した自分の体質に牽制を効かせるべく、得た結論に今後のあり方の持論を疑問顔の彼に向けて言葉にしていく。
「どうやら私は妊娠しやすい体質らしいので。2人目出産後は真面目に【計画的】を念頭に夫婦生活を続けるべきだと学習しました」
「ええ~、いいじゃん、子だくさん。それだけ俺と千麻ちゃんが最高の相性って事でしょう」
「すでに子供を2人も抱えて、更にこれから一人増える私の苦労を考えてください」
「・・・・・ねぇ、さりげなく俺もその数に入れたよね」
「いいじゃないですか。いつまでも少年の様だと、いつもの様に都合のいい解釈で捉えては?」
「いつまで経っても千麻ちゃんの中で俺は年下の子供扱いなんだね」
「そうですね。出会った時のまま・・・あなたは、大人びた言葉遊びが好きで小生意気な年下の男。
きっと一生・・・・そんな印象ですよ」
クスリと笑って不満顔の彼の頬を軽く摘まんで、出会った当初の姿を思いだして重ねて。
浮かぶのは、まだそれこそあどけない制服姿の少年であった彼。
その1年程後には彼の秘書になった。
『きっとね、千麻ちゃんと俺は長い付き合いになるよ』
幼くも不敵な笑みでそう言いきった彼を思いだす。
あの頃はまだここまでの予測はなく、頭に描かれていたのはすぐに実現した仕事の上での関係だけだろう。
あの瞬間には彼に目をつけられ、私の苦労の日々はもう確定していた事になる。
そして今にまで続く・・・・。