夫婦ですが何か?Ⅱ




そしてまた、ここでも話しこんでいた喉を気遣って、ポーチに入っていたのど飴を差し出して。


付属したそれは私の嗜好品というよりは、時々その役割が巡ってきた時用の甘味。


そして多分・・・好きではないだろうか?


あの人の・・・・息子であるのなら。



「・・・ハハッ・・」


「・・・・」


「アハハ、いや、もう・・・なんか、惚れそう」


「・・・・」


「いつから分かってた?俺が社長様のご子息だって」


「愚問ですね。そもそも秘書課まで来れる時点で重役の身内。更にあなたから香る匂いが社長のつける物、つまり先刻まで一緒にいたのでは?そして・・・・疑い様もなく、
純粋な日本人とは違う目の色をしていますから」


と、言っても。


目の色は本当に今程捉えた事実だけども。


飴を差し出した際に至近距離に寄って、ぼやけた目にもようやくその姿は明確になって。


社長によく似た目つきと瞳の色だと感じて、少し・・・印象が変わった。


チャラくて若い男という印象が今は全て嘘臭く感じて。


それを確かめるように胸元の眼鏡をようやく自分の顔に戻し、まともな視力で改めて彼を見る。


ああ、これは・・・、


お姉さま方も取り巻くはずだ。


どこかからスカウトでも来そうなくらいに綺麗で愛くるしい男だと思う。


好みではないけれど。



「でも、・・・意味深、」


「何がですか?」


「ん?父さんの為に常備してるんじゃない?いちごミルクの飴」


「ああ、まぁ、そうですね。極稀に、社長の気分を害してくる相手がおられると、後々車の中で不機嫌になられるので。
・・・・・ご機嫌取りの為の必須アイテムでしょうか」


「フッ・・ハハハ、父さんがあからさまに不機嫌見せるの?それって気にいられてるって事だね」


「さぁ?知りませんが、私は恙なくタイムラインにそって業務をこなしたいので、社長に不機嫌になられると困るのですよ」


「まさか俺の継母の座狙ってないよね?」


「正直・・・社長に魅力を感じた事ありませんから」


「アハハハ、」



終始淡々と言葉を返して、特別面白い事を言ったわけでもないのにこの爆笑。


いや、身内絡みだから可笑しいのか?


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