夫婦ですが何か?Ⅱ
「・・・・・・どうしたの?」
「・・・・・人として・・・まずは【ただいま】と響かせてはいかがでしょうか?」
「・・・ただいま」
「・・・おかえりなさい」
至って普通に帰宅しリビングの扉をくぐって私を捉えた彼が、その瞬間描いていた笑みを何とか継続で何とも言えぬ驚愕の反応で立ち尽くす。
それでもやはり目の当たりにした違和感に触れたいらしく、どうも私の反応伺う様にチラチラと緑を揺らして口を開いた。
「あのさ・・・、」
「何ですか?」
「うん、そのイライラスタイルの原因も非常に気になるんだけど、現状一番違和感感じること突っ込むね。
・・・・・・・何で?何の為のコスプレなのかな?」
「特に目的もない我が母上様の押しつけがましい贈り物ですが?」
「・・・・・それなんだっけ?【ムー〇ン】に出てくるよね?」
「・・・リトルミ〇ですね」
どう反応していいのか迷う彼の心情は目に見えて分かる。
彼が驚愕した自分の身なりを語れば、午前中に母の言った通りに届いた荷物を開封した中に下着の他に梱包されていた衣服。
どうもルームウェア的な物らしく3着用意されたそれは某アニメのキャラクター装うタイプの物で。
サイズから見たところ私には赤い服にボタン描かれたルームウェア。
そして一際小さいサイズで翠姫に用意されたムーミ〇の着ぐるみ。
まさかのもう一組に確実に有名どころであるスナ〇キンに摸したプリント施されたポンチョタイプのルームウェアはサイズからして彼用だろう。
それを何の躊躇いもなく送るのが母なら、何の躊躇いもなく着るのが私なのだ。
おまけとばかりに長い髪を上の方でくるりとまとめて。
腕の中にはムー〇ンスタイルで眠る翠姫を抱いて。
普段であるなら一笑してとことん乗って絡んでくる彼だろう。
でもこうして何とも言えない苦笑いで私の様子を伺うにはわけがある。
「・・・うん、うん・・、かわ・・・いいよ」
「何か不満や問題でも?」
「いやいやいや、そうじゃなくて・・・、ってか・・・・
その眉間の皺や不機嫌も役作りならありがたいなぁ・・・と」
「・・・・・あなたの用のコスプレはそこです」
「えっ!?無視っ!?いや、着るよ、着るけどもさっ、全然ノリノリで着れちゃうけどもさ・・・・何だろう!?この全然浮れないコスプレ大会!?」
当然色々と困惑現す彼を未だ感情のままに眉根を寄せて見つめてしまう。