夫婦ですが何か?Ⅱ
困るほど・・・・平和だ。
この関係だけを語れば。
「でも、お義父さんとお義母さんが夫婦なのもなんか不思議だよね~、全然共通点なさそうなのに」
「・・・・・母曰く・・・他のライバルたち蹴散らせて攻めて攻めて攻め抜いて・・・当時クール王子と称された父をゲットしたやらなんやら・・・・」
「・・・・・少女漫画みたいだね」
「まぁ、冷静に解釈すればきっと母の押せ押せに面倒になった父が『別に害があるわけでもなしこいつでいいか』的に一緒になったのでは?」
「ねぇ・・・自分の存在理由がそんな関係からでいいの?」
「別に現状平和な夫婦関係継続しているのだから問題ないのでは?」
「そ、そうなの?」
「父は私と同じ感覚なので本当にそんな理由かもですよ」
「同じ感覚とか言われると俺たちの関係にも不安を感じるんですけど!?」
「・・・・・・もう経験済みでしょう?」
「はっ?」
「私がこういう性格でなければ本来この夫婦関係の礎になった【契約婚】が成り立たなかった筈です」
「・・・そっか、じゃあその感覚に万歳だわ俺としては」
言いながら良かったぁと言うように私の体を抱きしめ複雑な笑みを浮かべる彼にクスリと笑う。
「・・・曲がりなりにも・・・夫婦になってますかね?」
不意にさっき浮上した言葉を彼にも響かせてみる。
やり直し少しずつ積み重ねてきた時間を久々に振り返って、自分たちが今度こそ揺らぐことなく登ってきているのか確認してしまう。
確認するまでもなく・・・登っていると多少の自信はあるのだけども。
そしてその自信は私よりも・・・
「曲がってもなく、まっすぐに夫婦でしょ」
言葉を示すように左手の薬指に絡み付いてきた指先が、悪戯に夫婦の証を示すようにくすぐって。
意図は明確だけども確認するような視線を向けて見上げれば、視線より早く絡んだ唇と余計にも私の胸に伸びてきた彼の手。
特別非難するでもなく彼らしいとされるがまま放置したのに、違和感ありげに唇とその手を離した彼が確認するように私の胸元を見つめる。
「何か?」
「いや・・・違和感?」
「・・・・胸なら元から無いと承諾頂けてたかと」
「いや、そうじゃなくて・・・・・、下着・・・着けてる?」
ああ、そうだった。
そう言えばもう一つコスプレがあったのだった。