夫婦ですが何か?Ⅱ
思い出した私だけへの贈り物。
いや、それによって結果彼も喜ぶ事になるのだろうか?
しかし、確かに彼には違和感の代物だろう、私にとってもそうなのだから。
その違和感の確認のように私の胸に触る彼が、確信を得ていても疑問の響きで私に問う。
「珍しいね・・・ブラあり気分だったの?」
「気分と言うか・・・有難迷惑な圧力でしょうか?」
「はっ?」
「このコスプレ理由と同じですよ」
「ああ・・・お義母さんからか、」
納得だと軽く笑った彼がさっそくとばかりにひらりとした裾をめくって胸の上まであげる。
悪戯っ子の表情だったのが捉えてすぐに狼に変わるのを見た気がする。
「わぁお・・・、まず見た事ないセクシー下着だね」
「30過ぎた娘に贈る物でもなさそうですけどね」
「赤ベースに黒レース・・・いいね、美味しそう」
「その感想は適切なんでしょうか?」
「だってこう・・・性欲と言う名の食欲が・・・」
「性欲と食欲は別ものかと、」
「も・・・黙って・・・」
あら・・・単純だこと。
簡単にスイッチ入ったらしき彼が言葉だけでなく指先でも私の唇に触れて言葉を防ぐと、躊躇いなく首筋に甘噛みして発情の表示。
まんまと母の策にハマって・・・。
と、呆れつつも単純で馬鹿で愛らしいと思う私もこうなる事を理解して身に着けていたのだけど。
「ちなみに・・・ベビードールとガーターもセットでした」
「それは・・・・後でしっかり確認しないとね」
「・・・・・・いいんですか?」
「ん?何が?」
「いえ、・・・【帰宅早々】で【食事】もまだでしたから」
言葉の引用。
言って嫌味に笑ってみせれば、苦笑いの彼が『意地悪』と返して私の唇を見事塞ぐ。
壁に縫い付けられて体を這う彼の指先に徐々に自分の気分もあげられて。
でも・・・、
「・・・ここでするんですか?」
「ちょっと気分が盛上がちゃった・・・、ベッドがいい?」
「いえ、別に場所はそれほど問わずですが・・んっ・・・」
本当に・・・効果絶大ね。
私の言葉を最後まで確認せずに再び重なった唇と、そのまま瞬時に濃密な物に変わるキス。
手馴れた指先があっさり胸の圧迫を解放してきて、無駄な動きなく彼の気分を上げた下着の下に滑り込む。