夫婦ですが何か?Ⅱ
でも・・・、むしゃくしゃしてますし見逃しませんけどね。
「赤から青に・・・・リトマス紙の様ねダーリン」
「ア、アルカリ性っす・・・」
「・・・冗談返す余裕はあると?」
「いや・・・精一杯の切り返し・・・」
「精一杯・・・・。
ねぇ、・・・秘密の香りが強すぎてむせ返りそうよ?ダーリン」
許容範囲を超える秘密を抱えてやしないか?
そんな風にズイッと彼に詰め寄って決して愉快な事態ではないのに口の端を上げてみせる。
でもその目は鋭く一瞬の逃げも許さないと射抜く様に向けて。
「単刀直入にお聞きしますが・・・・よもや妻子ある身としてあるまじき行為をなさってませんよね?」
「それは無い!!誓って法律違反な事も奥さんである千麻ちゃんを裏切るような事は無いです!!」
これは・・・多分本当だ。
私の問いに迷わず返して言葉遊びもなく断言している。
普通なら都合のいい夫の言い分として疑うべきなんだろうけれど、本当に私の言葉が真実ならこの人は下手な嘘もつかない筈。
それは恋愛関係になる前から傍にいて見てきた私だからわかる。
もし・・・、彼が都合のいい現実を作り出すような卑劣な大人に成長していなければ・・・。
勿論、そうじゃないと信じているから心もストンとその言葉に納得したんだろうけど。
つまりは過去の事だと言いたいのね。
現在進行ではなく・・・。
「・・・・・なら・・・堂々となさっては?」
「・・・うん、」
「さっきも申しあげた通りにあなたの過去の女性関係なんて今更1人増えたところで嫉妬が起こる物でもないんです」
「そ・・・だろうけど・・さ、・・・やっぱり・・同じマンションの同フロアだと気まずいんじゃない?・・・千麻ちゃん・・・」
「・・・・・つまり・・・私の心の傷を案じて焦っておられたと?」
「まぁ・・・平たく言えば・・・・」
言葉を濁しながらも懸念事項の予測に正解だと告げてきた彼が複雑な動揺を緑に映しながら私を見つめる。
探るように私の動向伺って、次に何を切り返されるのか警戒している様にも見える。
馬鹿ですね。
だから・・・・気にしてないって言ってるのに。
ああ、でも・・・・確かに傷ついた瞬間の本音を告げれば・・・。