夫婦ですが何か?Ⅱ
過去と言っても3年前の事だったのですね。
確かに・・・私とは離婚が成立し、少なくとも私はもうあなたと一緒なる事は無いと思っていた時期。
法律的にも縛りのない時期の・・・・。
それは・・・浮気ではありませんよ?
冷静にそんな答えが頭に浮上し、スッとその身を物陰からだして2人の背後に近づいていく。
私がその身を出した時にタイミングよく扉を開いたエレベーターに私の接近気がつかず乗り込んだ2人。
でも乗り込んで扉に体を向けた瞬間と、私が素早く乗り込んで手帳を胸に押し付けたタイミングの一致。
「っ・・・・・・」
「・・・・・・忘れものよ。・・・ダーリン」
まっすぐに見つめ上げたグリーンアイは酷く困惑と動揺に揺れて、軽く見える畏怖は私の得た秘め事に対してだろう。
聞いたのか聞いてないのか。
そんな疑問を無言でも表情で感じ、でもそれに答え響かさぬ無表情で返すとスッと小さな箱からその身を出した。
「っ・・千麻ちゃんっ・・・」
その声は背中で受けた。
走るでもなく、でも平常の歩みよりは早く自室に向かって歩きだして。
多分閉まりかけたエレベーターを無理矢理押さえてその身を出したらしい音が聞こえ追って来る気配。
それを無視して家に入ると何事もなかったかのようにリビングに入りこんで翠姫を見つめた。
無邪気にボールを転がして遊んでいる姿にふわりと微笑んで、そんな瞬間に扉の開閉音と慌ただしい足音。
追って入り込んできた彼の表情は焦りの一色で、『酷い顔』だと冷静に感じ彼を見つめた。
「・・・・何をしているんですか?・・・遅刻しますよ?」
「だって・・・・、ねぇ、待って・・・説明させて・・・」
「・・・何を焦っているのか知りませんが、・・・昨夜も言いましたが過去の時間に今更嫉妬するような女じゃありませんが?」
淡々と何をしているのだと無表情で対峙すれば、肩すかし食らったのか呆然とした彼が視線を泳がせ状況を判断し始め。
そうして半信半疑の眼差しで私を見つめると確認の言葉を響かせてくる。
「えっと・・・・聞いてたんだよね?」
「ええ、申し訳ありませんが」
「・・・・・つまり・・・気にしてない?」
「まったく・・・」
何を焦る必要があるというのか。
あなたも彼女も言った通りにマナー的にも何も違反的な事をしたわけじゃない。