まちこのerotica
不安な気持ちで一週間が過ぎた。
社内で不穏な噂が立つことはなく、俺は安堵した。そして、俺と真千子のしていたことを見て見ぬ振りをしてくれたあの人物に感謝した。
……が、それもつかの間。
そんなことは忘れていたある日、俺は部長に呼ばれた。
『高波課長が特定の部下と深い仲である、と告発があった』
部長は血走った目で俺を睨み付けた。
……やばい。ただじゃすまない。
俺の握った拳は、小刻みに震えた。
部長は立ち上がり、訳知り顏に俺の肩をぽんぽんと軽く叩いた。
『俺もなんとなく分かっていた。相手は吉本真千子じゃ?はは。図星だろ?
彼女は中年キラーだな。
顔はナンだけれど、なかなかいい身体している。おまけにスキだらけだ。社内を尻、振って歩いているし、口なんかいつもぽっかり開いてやがる。
今時の派手な若い女は疲れて付き合えないが、大人しそうな吉本なら、どうにかなりそうだと思わせる。
ま、俺は立場上遠慮するがね。
まったく据え膳そのもののあんなのが部下だなんて、遊び人のお前が手を出さないわけがないよな…』
部長は気持ち悪い流し目をしながら、ひひひと笑った。