まちこのerotica
『ま、もっと大やけどにならない程度にしろよ…家庭があるんだから。少し、潮風にでも当たって頭冷やせよ』
部長は、そう言って俺に転勤(島流し)を命じたのだった……
散々な目に合ったくせに、また三度めをやろうとしてる。
自分の馬鹿さ加減につくづく呆れるけれど、今度はもっとうまくやればいいだけだ。
ところが、指定の時間になっても、真千子は現れない。
圧迫感のある密閉された空間で、俺は15センチ程の厚さもあるB5サイズの書類をとんとん揃えてみたり、今更どうでもいい内容を読んでみたりする。
この書類は小道具だ。単なるダミー。
真千子が抱えた大量のコピーを俺が手伝うという毎度おなじみの設定。
仮に、不倫がバレたとしても俺がこの会社をクビになることなど絶対ない。
俺が着任してから、海辺にある寂れた営業所は少しずつ成績を上げている。
これ以上の昇進を望まず、黙々と仕事をする俺は会社にとって、まさに『人財』。
辞めさせるわけがない。
実は、俺は社内でも10本の指に入る優秀な営業マンなのだ。
【英雄色を好む】
うん。まさに名言だ。
結局、30分以上遅刻してコピー室にやってきた真千子は、少し元気がなかった。