まちこのerotica



呼び出し、その気にさせておいて、急用が出来たとお預け。
真千子には本当に申し訳なかったけれど、違法駐輪自転車に対する嫌がらせは、俺の中で怒り心頭な重大問題で、これを後回しには出来なかった。


真千子との情事が始まる寸前にかかってきた妻からの電話。
心底うんざりした口調で、彼女は
『パパ、聞いてよ!』と切り出したのだった。


『幸久(長男の名前)ったら、またあの花壇のそばに自転車停めちゃったのよ!

馬鹿よね…あんなに有料でも構わないから、ちゃんとしたとこに停めなさいってお金だって、渡してるのに…馬鹿よね。

塾に行くのに、3,4時間だから大丈夫だろうって置いたらしいの。

とっころがどっこい、帰ってきてみれば、前も後ろもタイヤパンクさせられてるの!
何かアイスピックみたいな尖ったもので、突っつかれたみたいなのよ。
本当馬鹿よね!』


感情が先走り、興奮気味の電話口の妻の説明は要領を得なくて俺はイラつきを感じた。

妻はしきりに馬鹿よね、を連発し、こっちまで馬鹿と言われている気がして、嫌な気持ちになった。


しかし…妻は間違っていなかった。
やはり馬鹿なのは、息子だけではなく、父親も同様だったのだ。



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