まちこのerotica


真千子のおっとりとした動作が気にいらない彼女は、何かにつけ真千子に辛く当たった。

社内では、やはり勤続年数が長い分、浅野の方が優勢だった。

何度か真千子を叱りつけている場面を見かけた事があった。
(その姿は、怯える亀みたいで可哀想だった)

だからもちろん、真千子も浅野を嫌っていた。時々、寝物語に冗談半分に
『高波さんの力で、早く浅野を辞めさせてよ』と無理な注文を俺にするのだ。


浅野が真千子を嫌う本当の理由が俺にあることは、間違いなかった。


実は……
浅野とは、1年ほど前に寝たことがあった。

二度だけ。


このことはもちろん、真千子は知らない。
積極的に迫ってきたのは、浅野の方で、俺の方もまんざらでもなかった。


しかし、二度目のベッドインで
『私、奉仕するの嫌いなの』と言った浅野。

それで俺は一気に冷め、距離を置いた。

浅野は未練たらしく、三ヶ月間、遠回しに復縁を迫るようなメールを寄越してきて、鬱陶しかった。


[あなたと別れてから、私は3キロ痩せました。こんな私をあなたに見せたい]

とか


[季節が変わりましたね。あの時、二人でみた夜の海はどうなっているのかしら?]

とか。

変に気を持たせてはいけない。

ある時、俺は、会社の廊下で出くわしたチャンスを利用して彼女に告げた。




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