まちこのerotica


それは、俺の意思ではなく、妻の意向で断煙せざるを得なかったからだろう。


俺は誘惑に弱い。
それは女関係が証明している。
若い頃、俺は本当にモテた。

中3の夏、初めて彼女が出来てから、常に女がいた。時にはなんとなく二股、三股になったりした。


28歳の時結婚して、やっと落ち着いた。
妻は同い年で、同じ大学のジャズ研究会で知り合った。

俺はサックスを吹いていた。
妻はピアノ。

妻は、俺が初めての男(妻いわく)で、ものすごく俺を愛してくれた。


7年間の交際期間中、俺は何度も浮気をし、それでも、妻は見て見ぬ振りをして優しく接してくれた。


極め付けは、俺が就職して同期の女と二股をしていた時だ。

俺はその女に夢中で、なおかつ仕事も忙しく、妻とのデートは月イチ程度に激減した。その待ち合わせにもしょっちゅう、遅刻した。


1時間待たせるのは当たり前。
いつ愛想を尽かされてもおかしくなかった。

それでも俺は開き直り、ろくに謝りもしなかった。
嫌なら、別れてもいい、と。

妻の方もとっくに、別の女の存在に気付いてるはずだった。








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