まちこのerotica
「と、停めちゃいけないところにと、停めてるのが、わ、悪いんじゃないか?」
どもりながら、必死に反撃する。カサカサに乾いた唇の端に唾を溜めながら。
俺はかがんで、しゃがみ込むジジイの前にあったママチャリの後輪タイヤの空圧を確認する。
………やりやがった!
見事にパンクしていた。
「器物損壊。現行犯逮捕だな」
「ま、待ってくれよ」
「だめだね」
俺はニヤリとする。
老人の顔面がみるみるうちに赤黒く染まる。
ふいに立ち上がり、奇声を発した。
「くわああああ!」
携帯電話を取り出し、通報しようとしていた俺の鼻先を、細い鋭利な銀色が掠めた。