まちこのerotica
グレーのスーツも上品だし、ベージュのネクタイもお洒落。

偶然、帰りの方角が一緒だったからタクシーで送ってもらうことになった。
今、考えればミエミエの手口なのだけれど。

後部座席で私は高波さんに肩を抱かれ、口説かれた。


『真千子ちゃんを最初見た時から気になっていたんだ…こんなに可愛い子がうちの課に入ってくるなんて、夢にも思わなかった…』


その囁き声はホロ酔いの私に、とても心地良かった。
こんなこと初めて言われたし。クスクス笑う私に、高波さんは信じられないことを言った。


『俺の実家にフランス人形があるんだ。姉貴が昔、親に買ってもらったものだけど。
真千子ちゃんそれに似てるんだ。今の若い子は知ってる?フランス人形って』


私はその言葉に衝撃を受けた。


そして、その夜。
私は彼の人形になった。

それが私の愛人生活の始まり。

高波さんは一週間後の23歳の私の誕生日にひらひらしたものをプレゼントしてくれた。
それは、ピンクの総レースで出来たブラジャーとパンティのセット。
ドン・キホーテで買ったよ、と正直に言った。




< 41 / 109 >

この作品をシェア

pagetop