まちこのerotica
弱み握られson of a bitch(サノバビッチ)
『もしもし……
吉本真千子さんだよね?俺、長谷部です。高波所長の部下。まあ同んなじ会社だし、もちろん知ってるよね?
ちょっと、きいて貰いたい話があるんだ。俺さあ、こないだ、うちの事務所の仮眠室で大変なもの見つけたんだけど』
夏の終わり、どこで調べたか知らないけれど突然に長谷部知之は、私のスマホに電話してきた。
同じ会社とか言われても勤務地違うから、長谷部って人いるなあ程度で、まともに喋った記憶すらない。嫌な予感がした。
「はあ。何のことですか?」
『…手紙手紙。100回記念おめでとう』
「……ほえっ?」
長谷部の言葉に私は息が止まりそうになった。心当たりがあった。
うまくかわさなきゃと気が焦り、スマホを持つ手が震え出す。私のとぼけた返事に長谷部は、ヘッと鼻息を吹いた。
『……しらばっくれてもムダだよ、吉本。
それに実は俺、こないだ本社に行った時、ずっと君の後を付けてたんだ……トイレに行ったあと、資料保管室で、高波と逢ってただろ?
決定的証拠だ。ここまで揃っちゃ言い訳出来ないよね。
本当に君はエッチな女だな。こんなことやっていいと思ってんの?』
えっ…やだ!資料保管室!
なんでそんなことまで知ってるの?
私は気が動転して、逆ギレしてしまった。しらを切り通すことが出来なかった。
「うるさいわね!余計なお世話よ!
こんな関係、いけないって、わかってるわ。でも、好きなんだから、仕方ないじゃない!」
追い詰められた私は、電話口で泣いた。