まちこのerotica
なぜかわからないけど、会議とは全く無関係の長谷部も終業間際になって「仕事で近くまで来たんで、ついでに寄りました」といって、営業部に顔を出した。
手土産もなしに。

長谷部は、近頃よく本社に暇さえあれば来る。
ついこないだ、長谷部と電話であんな会話をしたばかりの私としては薄気味悪くてしょうがない。


営業一課のイケメン・ヤマダくん曰く。

「長谷部先輩、海辺の営業所から本社に戻して欲しいアピール、してるんじゃないすか?なんか必死に」


長谷部がこの本社営業部にいたのは、やつが新卒で入社して半年の研修期間だけだという話で、馴染んでる人間なんか一人もいないのに。

邪魔臭がられてることに気付かない長谷部は絶好調。一人で喋りまくり、皆からウザがられいることに、全っ然気付かない。
俺、デカイ契約取ったんだ、とかドヤ顔で騒いでる。本当に幸せなやつ。


……いけない、失敗した!
終業のベルが鳴り、皆はそそくさと帰って、いつの間に私はとり残されてた。

二人きりになるチャンスを伺っていた長谷部の思う壺になってしまった。
案の定、長谷部は真剣な表情を作り、私の前に立ち塞がった。
そして、私に説教を始めたのだった。




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