まちこのerotica
「吉本…また、先週、うちの営業所来ただろ?」

「…」

「…とっぼけんなよ!
ゴミ箱に大量の使用済みティッシュ捨ててあったから、ばれてんだよ!
事務所のゴミ捨て係、一番下っ端の俺だからあ。高波とまっだ、続いてんのかよ?いい加減、目を覚ませって?あいつのどっこがいいんだよ?
くたびれた40過ぎの妻子持ちじゃん!」


「……」


ウザい…しかも、なんとなくキムタクの真似してる気がする….

定時(6時)を過ぎたというのに、長谷部はしつこく私にまとわりついてくる。

血走ってグリグリとした目。
ボサボサの髪。
曲がったネクタイ、せり出した腹。毛深くてゴリラみたい。

舌が短いらしく、ねちょねちょした喋り方は本当に気持ち悪い。
生身のハセべは、電話より更に図々しかった。


【上司と不倫する後輩に説教する曲がったことが大嫌いな俺】


言ってることは正論で、だから自分で自分の言ってることに酔っている。下心全開のくせに。素直にこんなやつの話なんか聞くことができなかった。


二年先輩、長谷部知之に高波さんとの情事が暴露てしまったのは、私の不注意からだったから笑える。



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