まちこのerotica
私・吉本真千子は、中学生の頃から【お手紙】を書くのが好きで、よくお気に入りの便箋にメッセージを書いては、友達に手渡していた。
大人になると『愛を伝える』のが特に好きになる。
だけど、不倫の前彼たちには嫌がれた。愛人からの手紙なんて、【爆弾】そのものだから。
でも、私の手紙は、単純に好きな気持ちや一緒にいてくれる感謝なんかを綴ったもの。
読んだらすぐに破るなり、燃やすなり捨てるなりしてくれればいい。そしたら、何も証拠は残らないのに。
「私は感情を文字にして、表現したいだけなの。言葉では恥ずかしくて言えない想いを伝えたいだけなの」
私の切なる想いに、高波さんだけが「わかったよ」と頷き、手紙を受け取ることを了解してくれたのだ。
「但し!」
「…但し?」
「読んだらすぐに真千子に返すから。真千子がちゃんと処分してね」
そんな約束付きでも、私は嬉しかった。
それから逢うたびに、便箋1枚程度の手紙を高波さんに手渡した。
そして、読んだあとは私が持ち帰って自宅のマイシュレッダーにかけた。
ひと月前のこと。
例の海辺の営業所の秘密部屋でエッチしたあと、私は「これ!」と言って高波さんに手紙を渡した。