まちこのerotica
我慢しなきゃ…


私が眉を寄せて堪える様子を高波さんは時々ちらりと上目遣いに見ては、意地悪に笑う。


「真千子、どうして欲しい?」
とか言って…


「欲しいモノかあるなら、ちゃんと言いなさい。ソレをどうするのか…」


高波さんの低い声が、狭くて埃っぽい部屋に響く。

私は後ろの棚に両手をついて、自分の身体を支えていたけれど、火が着いた下半身の疼きに今にも膝がガクリ、と折れそうだった。


それを知っていて、高波さんは焦らす。私から言わなければ…
一生このままだ…


「イヤん…だからあ。高波さんの…大きな…お…」


と、私が言いかけた時。

ちゃっちゃらっちゃー♪
銭形平次の着信音が、響き渡ったのだ。


「はい。高波です!」


私にくるり、と背を向け、一瞬にして素に戻る高波さん。さっきのとろとろにエッチなささやき声は嘘のよう。

私達の秘め事は、完全にぶち壊されてしまった。


その電話はなんでも、特別な客からの問い合わせの電話で、これからすぐに顔を出さなければならなくなったと顔を紅潮させ、高波さんは言った。


でも、それは真っ赤な嘘。
私は知ってるんだから。


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